推しが聖人だった話 後編
前回までのあらすじ。
推しに質問したら聖人だった。
会場を後にしてからふらふらしたりお茶飲んだりして駅に行った時、なんと改札には劇場スタッフさんに送られる推しとマネージャーさんが居ました。
普段の行いが悪いせいで全然信じていただけないと思うのですが偶然なんですよ。
劇場スタッフさんも改札内に居た私を見つけて「預かったプレゼントは渡しましたよ!」ってジェスチャー(どんなだ)してくださって推しの腕には確かに贈った物が違う手提げに入れられているのがチラッと見えて、うわ、なんだこれ、かなり幸せだぞ…!
ICカード的なものが上手く作動しなくて改札にひっかかって「あれえ?」って顔してた推しが可愛くて可愛くて、でも何もできないので遠巻きに見ていたのです。
それまでは夢見心地でした。
推しはこちらを見て私の方に来て、「次の○○行きの電車で帰ります」と言いました。
その時は浮かれまくっていたのでお気をつけても言えず、本当に気持ち悪い言葉にならない声しか発せなくて、はっきり言ってキャパオーバーになっていたので気づかなかったのですが、要するに私は推しに「ついてくるなよ」と言われたのでした。
トークショーで関係無い質問をする空気読めてないファン、
プレゼントまで贈ってくる粘着質なファン、
改札で待ちをしてたストーカー(こればっかりは誤解)なファン。
推しは、そんな私を(嫌でも)憶えて、大変に明晰な頭脳と聖人と言っても過言ではない優しい人格を以て、最高にオブラートに包んだ「ついてくるな」を発したんだと、違う方面へ帰る電車の中でようやくわかりました。
これほど優しい拒否をされて、呆然とするしかありませんでした。
綺麗に線を引かれたという感じです。
もう「無い」んだなって理解するのに時間がかかりました。
考えたくなかったから。
質問に答えてもらえて、プレも貰ってくれて、めちゃくちゃ嬉しいはずなのに、ハッピー幸せオタク野郎なのに。
推しにとって私は、そうやって予防線を張っておかないと何をしでかすかわからない不安材料であったことが悲しくて、何一つ信用されていないんだな~って泣けてきました。過去の推し事を一生懸命粗探しして、やっぱりあれが良くなかったんだとかあれでオキラになったんだって自分を責めてももう取り返しのつかないことですよね。
推しは、私が推しのオタクをすることを許してくれるのでしょうか?もう降りた方がいいのでしょうか?今でも答えを出せずにいます。